珍しく驚きで目を丸くする朱里の前で、賢太が美幸の身体を抱き上げる。眠る彼女の揃えた両膝裏と、背に、各々回した二本の手を支点にして抱く格好。俗に「お姫様抱っこ」と言われる体勢だ。
「おー。やればできるじゃない。ひひ、いつもより男らしく見えるゾ」
朱里の茶化しに耳を傾ける余裕は、すでにない。
(温い。柔らかい。美幸さんの寝息が、俺の、む、胸をくすぐって……!)
酔っているせいか美幸の体温は高く感じられ、手指と腕にかかる柔らかな重みをより甘美な物として記憶させた。強く抱き締めたい衝動に駆られつつも、美幸を起こさぬよう細心の注意を払って六号室を出る。
出典:~ときめきアパート性活 愛しの管理人さんと魅惑の隣人たち (リアルドリーム文庫) ~
著者: 空蝉
ひとつ屋根の下 恋色の陽だまり ボロアパートに独り暮らしをする浪人生・賢太は、一癖も二癖もある隣人たちと深い仲になる。「初めてのおっぱいの感触はどう? 柔らかい?」妖艶な美女・朱里に自信をつけさせてもらった賢太は思いを寄せる管理人の美幸とも心の距離を詰めていくが、なかなか一線を越えられずにいた。浪人生に春は来るのか!?日常に密着したエロス、リアルな舞台設定で送る官能小説レーベル!