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すらりとした鼻筋。ピンク色をした肉厚の唇がわずかに開き、息をするたびに甘い息が漏れている。

庵乃音人

美女の名は、敷島祈里。同じ大学に通う一学年上の女性で、入学と同時に入った弓道部の活動を通じて、すでに一年半近くのつきあいがあった。
高級陶器みたいに色白ですべらかな祈里の顔が露わになるたびに、胸がときめく。
キリッと凛々しい、古きよき時代の大和撫子然とした端正な美貌が、今は子供のように愛くるしく、無防備になっていた。見つめられるとドギマギしてまともに見返せなくなるアーモンド形の瞳が閉じ、長い睫毛が時折震えた。すらりとした鼻筋。ピンク色をした肉厚の唇がわずかに開き、息をするたびに甘い息が漏れている。
いい香りだった。しかも、うっとりする匂いを放つのは吐息だけではない。
黒髪からは、グリーンアップルやストロベリーを彷彿とさせるフルーティーな芳香がした。目を閉じてそっと息を吸うと、淡い水色のワンピースに包まれた女体からは、花園のなかで嗅ぐような甘美な体臭が香り立つ。

出典:~魅惑の桃尻温泉郷 女子大生と恋の四角関係 (リアルドリーム文庫)

著者: 庵乃音人

「夏休みって何か予定ある?」密かに恋い慕う大学の先輩・祈里の誘いで訪れた山村。そこで青年は祈里の友人・志摩子の縁談を断るために偽りの婿候補として“お試し婚”をすることになる。祈里への恋心を抱えながらも縮まる志摩子との距離。さらに志摩子の妹も巻き込み、交錯する恋の行方は!?