女は遠目にも分かる肉感的な肢体に、官能的な赤いランジェリーを着けていた。陰毛が横からハミ出てしまいそうな、きわどいハイレグカットのパンティはシースルーつまりスケスケである。まるでグラビアアイドルか何かのように両手を頭の後ろに組み、手入れの行き届いた腋下の窪みをさらしてポーズをとっていた。立てこもりの人質にされている家族の一人だとすぐに分かった。志津子である。身に着けている恥ずかしいセクシー下着は、犯人側の要求で警察がやむなく差し入れたものだ。
「あ、ああっ……」
投光器の光を全身に浴びて、屋上の端に立つ志津子は生きた心地もなかった。初めは眩惑されて何も見えなかったが、まばゆい光に目が慣れてくると、屋敷を囲む警察や報道陣、近隣の住民を含む大勢の野次馬たちの姿が彼女の視界を塞いだ。夜の闇が起伏するかのような大きなどよめきは、彼女の恥ずかしいヌードが惹き起こしたものに相違なかった。
「お、お願い……」
強いられたポーズを懸命に維持しつつも、志津子は泣訴せずにはいられなかった。
「これ以上はもう……もう……」
コンクリートの冷たさが、素足の裏をかじかませる。膝が小刻みに慄えて、もう立っていられない気がした。そんな自分の姿は、屋敷をとり囲んだテレビ局のカメラを通して、おそらく日本中の人々に見られているに違いなかった。
著者: 御堂乱
「どこまで許せば満足してくれるの? もう出てって」男の肉茎をしごかされながら悲壮な目で訴える志津子。二人組に占拠された高島家のリビングで続く凌辱の狂宴。妻の痴態を力なく見守る夫、婚約前の躰を穢される家政婦。ついには身を挺して守ろうとした愛娘の操までが……極限状態下に置かれた男女がさらけだす愛と性の真実!