即座に頭を切り替え、悪戯娘の心境に立ち返った朱里が、賢太の左隣へと忍び足で身を移し──刷毛で掃くようにふわっとした手つきで、青年の左乳首をくすぐる。
「おふぅぅ……っ!?」
応じて賢太の口から驚きと、喜色にまみれた嬌声がこぼれ落ち。
(お、男の人も乳首で感じる、の……?)
美幸は疑問を覚えると同時に、まさに今その賢太の手で乳を捏ねられ喘ぐ己の媚態を改めて意識させられた。羞恥の昂揚が全身に回る快感に身を捩った結果、彼に摘ままれた乳首にひねりが加わり、さらに悶え泣かされる羽目になる。
(ふぁ、あぁ、乳首凄っ……じゃなくて!朱里さんっ。約束が違います!)
ひとしきり乳に奔る恍惚を貪った後にようやく、賢太に触れない約束を破った朱里に抗議の目が向いた。
向けられる視線の鋭さに気づいていながら涼しい顔の朱里が、わざと、賢太の乳首を弄ぶ様を見せつける。
「ふっ、あぁ、あふぅぅ」
ふやけた男声に被さって、美幸の手に握られた肉幹が喜悦の脈を響かせる。
(う、う~っ。それ、私がしてるんじゃ、ないのに……)
嫉妬を煽る意図ありありの面持ちで、美幸の目を惹きつけた朱里が、とうとう。寝そべる賢太の腕に生乳を乗せてしまった。
「……っ!え、あ、あれっ?え、えぇっ……」
滾々と喘いでいた賢太の顔に、初めて困惑が浮かぶ。右腿と左腕、二か所に二つずつ、柔乳の触感があるのだから当然だ。
出典:~ときめきアパート性活 愛しの管理人さんと魅惑の隣人たち (リアルドリーム文庫) ~
著者: 空蝉
ひとつ屋根の下 恋色の陽だまり ボロアパートに独り暮らしをする浪人生・賢太は、一癖も二癖もある隣人たちと深い仲になる。「初めてのおっぱいの感触はどう? 柔らかい?」妖艶な美女・朱里に自信をつけさせてもらった賢太は思いを寄せる管理人の美幸とも心の距離を詰めていくが、なかなか一線を越えられずにいた。浪人生に春は来るのか!?日常に密着したエロス、リアルな舞台設定で送る官能小説レーベル!