「……えっ」
貴史は慌てて後ろに向き直り、挨拶をしようと相手を見た。志摩子の妹は部屋着らしい、くつろいだタンクトップとジーンズ地のミニスカートを穿いていた。
顔を見た途端、「あっ」と声を上げそうになった。ついさっき、全裸で泳ぐ秘めやかな姿を出歯亀させてもらった美少女がそこにいたのだから無理もない。
「夏海。この人が瀬谷貴史さん。お姉ちゃんがずっと内緒でつきあってた人」
「は、初めまして。瀬谷と言います」内心の動揺を押し殺し、落ちついた物腰に見えるよう神に祈りながら、貴史は夏海に挨拶をした。
「……ふんっ」
だが、なぜか夏海は敵愾心を露わにし、鼻を鳴らして顔を背けるとそのまま廊下を遠ざかっていく。ミニスカートから覗くむちむちしたふとももの肉がエロチックに震える眺めが、どうしても夕方の淫靡な出来事を思い出させた。
「あ、夏海?夏海!どうしたのかしら……ごめんね、貴史さん」
出典:~魅惑の桃尻温泉郷 女子大生と恋の四角関係 (リアルドリーム文庫) ~
著者: 庵乃音人
「夏休みって何か予定ある?」密かに恋い慕う大学の先輩・祈里の誘いで訪れた山村。そこで青年は祈里の友人・志摩子の縁談を断るために偽りの婿候補として“お試し婚”をすることになる。祈里への恋心を抱えながらも縮まる志摩子との距離。さらに志摩子の妹も巻き込み、交錯する恋の行方は!?