遠慮の「え」の字も感じられない大股で五号室の戸を開け放ち、姿を見せたのは、妙齢の女性。金に染めたセミロングヘアを靡かせて歩み寄る彼女の頬や目元には、すでに酔いを示す火照りが差していた。
元より垂れ目がちの眼がトロンと酔いにまどろむ様は、知った仲である賢太からすれば見慣れたもの──のはずが、毎度艶めかしさを感じずにはいられない。赤いリップの乗った唇がまた、色っぽさに拍車をかけていた。
千葉朱里。隣の六号室の住人である彼女にウインクを浴びせられ、賢太は自身の頬にも火照りが差すのを実感した。
「朱里さん。またそんな格好で……!ちっとは気を遣ってくださいっていつも言ってるでしょ」
目を背けつつ、日々の恒例となった苦言をぶつける。
無遠慮に受験生の部屋を訪ねてくる時点で相当だが、加えて、纏っている服装がおかしい──はっきり言って異常だ。二十九の熟成されたプロポーション。身長百六十六センチの肢体と、一個ずつが手に余るサイズの胸の膨らみ二つ。それらを覆うのが、ただの二枚。今にも透けそうな薄手のスリップと、その下に隠れているショーツのみという有様なのだから、十九歳の健全男子としては目のやり場に困ってしまう。
出典:~ときめきアパート性活 愛しの管理人さんと魅惑の隣人たち (リアルドリーム文庫) ~
著者: 空蝉
ひとつ屋根の下 恋色の陽だまり ボロアパートに独り暮らしをする浪人生・賢太は、一癖も二癖もある隣人たちと深い仲になる。「初めてのおっぱいの感触はどう? 柔らかい?」妖艶な美女・朱里に自信をつけさせてもらった賢太は思いを寄せる管理人の美幸とも心の距離を詰めていくが、なかなか一線を越えられずにいた。浪人生に春は来るのか!?日常に密着したエロス、リアルな舞台設定で送る官能小説レーベル!