決して強弁せず、真正直な説得に終始する。温厚で真面目な美幸らしい物言いに堪りかね、朱里は渋々賢太の背から身を離す。事態を収めた達成感と、素直に聞き入れてくれた朱里への感謝を表して、美幸は含みのない笑顔を見せた。
ジーンズに桃色の長袖スウェット。飾り気のない白エプロンの下の活動的な出で立ちと対照的に、基本柔和な物腰と笑みを絶やさない。
惚れた欲目、贔屓目を抜きにしても「気立てのよい美人」という表現以外に表わしようがない気がする。改めて惚れ直した賢太の惚け顔を、その美幸の優しげに細められた眼がいつの間にか見つめていた。
机に向かう青年の肩に触れるか触れないか、といった至近距離。前屈みとなって覗き込む彼女のエプロンに包まれた胸元は、残念ながら肩甲骨付近を抱くように腕組みした彼女自身の手に遮られて窺えず。代わりに銭湯から帰って間もないのか、ポニーテールから漂うシャンプーの香りが、賢太の鼻孔をくすぐった。
派手に着飾っているわけでも、朱里のように過剰な色気を振り撒いているのでもない。なのに女性としての魅力を強く感じ、惹きつけられてしまう。
エプロンとスウェットのさらに下に隠されている、秘めたる部位。服の上からでも朱里のものより一回りは大きいと予測される、肌色の膨らみ。さっきまで押し当てられていた朱里の胸の感触がまだ背に残っているだけに、童貞男子の妄想が膨らむ。
出典:~ときめきアパート性活 愛しの管理人さんと魅惑の隣人たち (リアルドリーム文庫) ~
著者: 空蝉
ひとつ屋根の下 恋色の陽だまり ボロアパートに独り暮らしをする浪人生・賢太は、一癖も二癖もある隣人たちと深い仲になる。「初めてのおっぱいの感触はどう? 柔らかい?」妖艶な美女・朱里に自信をつけさせてもらった賢太は思いを寄せる管理人の美幸とも心の距離を詰めていくが、なかなか一線を越えられずにいた。浪人生に春は来るのか!?日常に密着したエロス、リアルな舞台設定で送る官能小説レーベル!