「肌の色、厚い情熱的な唇、そしてブルネットの柔らかい髪──」
貴女はスペイン大使夫人ですね、とズバリ言い当てておいて、
「では脱いでください」
と命じた。
マリアは肝が据わっていた。胸元と背中の開いた白いドレスを捲り下げると、敵意を露わにして中尉の顔を見すえたままワインレッドのハーフカップブラをとり、挑むようにバストをせりだして直立した。
パンティの前をおさえて立つフランス大使夫人を注視していた兵士たちの視線が、いっせいにマリアの伸びやかな肢体へと注がれた。
「なるほど、これがラテン女の身体か」
短くなった煙草を床に投げ捨てると、マスチフ中尉はゆっくりと彼女のまわりを巡りはじめた。
自国から出たことのない彼には、ラテン系民族の女が珍しい。女豹を想わせる伸びやかでセクシーな肢体、燦々と降り注ぐ太陽の光を浴びた褐色の肌からは、東欧の女には無い野性の色香がムンムンと発散されていた。
背後から伸びてきた手にいきなりバストをすくいあげられ、
「アッ」
と、マリアは声をあげた。
「い、いやっ」
勝ち気とはいえ人妻だ。不意打ちの辱しめに、たまらず身をよじりたてた。
出典:~敗戦国の人妻 (フランス書院文庫) ~
著者: 御堂 乱
「全員、裸で壁際に並んで、尻をこっちに向けろ」夫の目の前で、餓えた獣たちの餌食になる令夫人。愛する娘をかばうため、兵士に強姦される人妻。収容所内で淫らな性的拷問にかけられる美母娘。縛られ、穢され、弄ばれ……無残に横たわる裸身。敗戦国を舞台に御堂乱が描く壮大なハードロマン!