「……いつも、お姉ちゃんのお尻、見てるよね」
脈絡もなく切り出されたその一文によって、せっかくの穏やかムードが消し飛ぶ。
「きゅ、急に何言ってるの。それに別に、俺はお尻を見てたわけじゃ」
歩みに合わせて揺らぐ黒髪のポニーテールや、その下に覗くうなじ、後れ毛に見惚れた事ならあるが、純然たる憧れの表れだ。決して情欲の類からではない。
よっぽど事実を告げようとするも、かえって言い訳めいて聞こえる気もする。逆効果になるのではとの懸念から逃れられぬまま、賢太は言い出す機会を失った。
「大きなお尻、好きなんだ」
「い、いや、だからそれは」
好きか嫌いかと問われれば──大好きだ。
ジーンズの生地を目一杯引き伸ばして、みっちり詰まった肉の丸みを浮き立たせていた、美幸のヒップ。歩行に合わせてジーンズの皺の寄り方が変化し、尻肉の弾みぶりがより際立って映るその様に、自然と視線が吸い寄せられた事は数知れず。
追い打ちをかけられ、しどろもどろとなった賢太が目を逸らす。まずい、と思った時にはもう次なる言葉が結の口から発せられていた。
出典:~ときめきアパート性活 愛しの管理人さんと魅惑の隣人たち (リアルドリーム文庫) ~
著者: 空蝉
ひとつ屋根の下 恋色の陽だまり ボロアパートに独り暮らしをする浪人生・賢太は、一癖も二癖もある隣人たちと深い仲になる。「初めてのおっぱいの感触はどう? 柔らかい?」妖艶な美女・朱里に自信をつけさせてもらった賢太は思いを寄せる管理人の美幸とも心の距離を詰めていくが、なかなか一線を越えられずにいた。浪人生に春は来るのか!?日常に密着したエロス、リアルな舞台設定で送る官能小説レーベル!