ギイッ、ギイッ……ギイッ、ギイッ……。
「うっ、うっ、ううっ……あああっ……」
ギイギイと揺れ軋む鉄鎖の音に、シルヴィアの重い呻きが入り混じった。次第に弱々しくなっていく呻きがやがて絹糸を震わすような啜り泣きに変わったころには、汗に濡れた裸身は悩ましい官能の悶えを見せていた。暗く湿っぽい石牢の中の色責めの光景は、さながら中世の責め絵を想わせる。
「ああっ、た、たまらないッ」
唇をせつなげに開いてシルヴィアは身も世も無げな声をあげた。積極的に腰を使い、磔台の振幅に勢いをつけている。
「お願い……キスして……あァ」
綺麗な歯並びの間から、ハアアッと湿った吐息をこぼした。
(フフフ、ついに崩れたか)
ヒクヒクとうごめく肉層を突きえぐりながら、ガイウスは征服の喜びを噛みしめる。勝ち気な女をセックスで屈服させることこそ、この上ない快楽なのだ。
「俺の妻になるか?」
「は、はい……」
「俺の子を産めよ」
含羞をたたえた美貌がこっくりとうなずいた風情に、ガイウスは有頂天になった。おおいかぶさって抱きすくめ、朱唇にむしゃぶりついた。夢中で舌を入れると、王女の柔らかな口腔内を舐めまわし、甘い唾液をぢゅるぢゅると啜った。
甘美なディープキスの桃源郷は、だがしかし数秒しか続かなかった。
出典:~敗戦国の人妻 (フランス書院文庫) ~
著者: 御堂 乱
「全員、裸で壁際に並んで、尻をこっちに向けろ」夫の目の前で、餓えた獣たちの餌食になる令夫人。愛する娘をかばうため、兵士に強姦される人妻。収容所内で淫らな性的拷問にかけられる美母娘。縛られ、穢され、弄ばれ……無残に横たわる裸身。敗戦国を舞台に御堂乱が描く壮大なハードロマン!