「おねだりしたいことがあるんだろ、初美さん」
「…………」
初美は思わず達也の顔を見た。おねだりをすれば、直人が向こうで遊ぶようにしてくれるというのか。わずかの可能性があるなら、今の初美はそれにすがるしかなかった。
「ああ、達也くん……初美にお薬を入れて……おねがい、入れてください……」
初美はふるえる声で哀願した。
「初美さん、薬を入れるって……飲み薬、それとも注射なのかな。お医者さんごっこでもここは判断がむずかしいところだもんね」
「ああ……浣腸を……初美の……初美のお尻の……穴から入れて……」
「初美さん。つまり座薬ってわけだね。座薬は効き目がはやいっていうもんね」
達也はもっともらしく言って、オーバーに大きくうなずいた。
まだ幼い直人は疑うことも知らず、美しい母親の身を案じて達也にたよりきっている。
「聞いただろ、直人。ママは身体の具合が悪くて、はやくお尻の穴から薬を入れて欲しいと言ってるんだ」
達也は意地悪く直人に言って聞かせ、慰めるふりをする。
「そう心配するなって、直人。初美さんのお尻の穴からたっぷり薬を入れれば、すぐにママは元気になるって」
達也に言われて、直人は大きくうなずいた。まだあどけない大きな瞳は、母の身を案じることに精いっぱいで、今にも涙が溢れそうだ。
(おねがい、直人をはやく向こうへ……)
初美は達也に向かって何度も目で訴えていた。母のことが心配な直人は、向こうに遊びに行くどころではない。初美のそばを離れようとしない。
著者: 結城彩雨
(あの子に見られたりしたら、私たち、破滅よ……)背後から息子の悪友に貫かれ、恍惚に喘ぐ初美は、誰にも見せたことのない淫らな牝の顔を浮かべていた。体育館、通学電車、寝室…時と場所を選ばない狼たち。最後の矜持を振り絞る美母の想いを打ち砕くように、物陰から覗き見ている我が子の手には浣腸器が!
