(それにしても健太ちゃんったら、私を指名したいなんて……)
まるで胸中を見透かされているようで、由美は思わず顔を赤らめながら、その顔を健太の背中に密着させる。
由美は背中から顔を離すと、泡立つソープでサマーセーターが濡れるのも構わず、健太の逞しい背中にたわわな胸を押しつけ、こみ上げるあまりの愛しさに、後ろから健太の分厚い胸に両手を回し、強く抱きしめていた。
「あっ、ママ……そんなことされたら、僕……」
「いいの……。いくら風変わりな祭りだからって、母親である私を、息子の健太ちゃんが、その夜の相手として指名するなんて不可能なの……。でも、今夜なら、私、祭りなど関係なく、健太ちゃんの、妻になれるような気がするの……」
「マ、ママ、それって……」
(これでいいの……。これで健太ちゃんを、私の手に取り戻せる……)
由美はそう何度もつぶやきながら、すでにソープの泡だらけになっている、サマーセーターを脱ぎ、生乳を背に押し付けて、後ろから健太の耳元に口を寄せていた。
「でも、このことは絶対に内緒よ。口が裂けても誰にも言わず、健太ちゃんとママの秘密として、一生、二人の胸の中に仕舞っておかなければいけないの……」
何度もうなずく健太の額に浮かぶ無数の汗を、由美の手が拭き取る。
「健太ちゃん、立って……。ママに逞しくなった健太ちゃんの全身を見せて欲しいの」
健太ははじめて自分の口から、「好きだ」と告白したが、交わりへと誘う囁きをしたのは由美のほうだった。
(祭りが私を狂わせているの……。もう、後戻りできないわ……。これで終わりにしたら、私と健太ちゃんとの間に、決定的な亀裂が走る……)
垣間見た健太の肉棒が、天にそそり勃っていた。それを目にした由美は、左右の太ももをきつく閉じ、力を込めて蜜が滴る股間を圧迫していた。
著者: 小鳥遊葵
「じっとしてて……これは大人になる儀式だから」少年のズボンからたくましい肉茎を引き出す美熟女。絡まる指先、深々と呑み込む唇、顎を伝う雫……祭りの夜、年上の女が若者の筆おろしをする島の風習。教え導くはずが、性の愉悦に溺れていく35歳。留美子、咲枝、由美……海の女は淫らで美しい。