「マ、マレーナ……ああ、マレーナ」
アレクセイは兵士の揶揄に反発する気力すら無かった。かすれた声で妻の名を数回呼んだだけで、後はしゃくりあげるように嗚咽する。
そんな夫の呼びかけがマレーナに届いているはずもない。対面座位で豊満なヒップを狂おしく波打たせながら、もう言葉も出せない有様なのだ。
「ああうっ、ああうっ……ああうっ、ああうっ」
突き上げられ捏ねまわされる最奥が、得も言われぬ快美に灼け爛れる。とめどなく滲み出る生汗で柔肌がヌメ光り、うねり狂う人妻の裸身をこの上なく淫らに見せた。ほとばしる牝声に、もうためらいはない。
「ああっ、もうっ!あああっ、もうっ!」
その時を告げる声が切迫の度を増すと、髭ヅラも鼻息を荒らげた。まるで夫婦か恋人同士のように、犯す者と犯される者が歓喜の頂点を一致させようと腰を振る。二人は男と女、いやオスとメスになっていた。漲りの極限に達したオスの怒張がメスの最奥を削岩機のごとくドドドッと掘りえぐり、メスの秘壺が万力のようにそれを締めあげた時、
「ヌオオオオーッ」
オスは煮えたぎるマグマを雄叫びと共に噴き上げた。
ヒエエエエエエエエエッ!
目もくらむ快感が背筋を走ってマレーナの脳天に突き抜けた。
「ヒイイーッ!ヒイイイーッ!」
断末魔の声をかすれさせ、男の腕の中で弓なりに反った裸身は、そのままキリキリと数秒間収縮した後で、ヒクヒクと生々しい痙攣を始めた。愉悦に溺れきって知性を喪失した眼差し、開いたまま小刻みに震える紅唇、むせかえるほど室内に満ち満ちた甘い女の体臭──何もかもが人妻を襲ったアクメの凄まじさを物語っていた。
出典:~敗戦国の人妻 (フランス書院文庫) ~
著者: 御堂 乱
「全員、裸で壁際に並んで、尻をこっちに向けろ」夫の目の前で、餓えた獣たちの餌食になる令夫人。愛する娘をかばうため、兵士に強姦される人妻。収容所内で淫らな性的拷問にかけられる美母娘。縛られ、穢され、弄ばれ……無残に横たわる裸身。敗戦国を舞台に御堂乱が描く壮大なハードロマン!