そのまま頭のなかが白く灼かれそうだが、すぐに次の中学生が三本目の浣腸をしかけてきた。ドクドクと入ってくる薬液の冷たさが、初美を我れにかえらせる。
「フフフ、二人目でもうイッちゃうなんて、やっぱり浣腸好きの初美さんだけのことはあるね。そんなにバスのなかでの浣腸が気持ちいいのかい」
達也がニヤニヤとからかった。だがそれも他の乗客たちには、子供が母親に甘えてなにかねだっているようにしか見えない。
「みんな女の身体のことはあんまりよく知らないと言っただろ。初美さんが浣腸で気をやったこともよくわかってないから、今度イク時は、みんなにちゃんと教えるんだよ」
「…………」
初美はドクドクと入ってくる薬液の感覚に必死に耐え、達也の言葉を聞いた。
注入されるのはグリセリンの原液だ。はやくも荒々しい便意が急激にふくれあがってくる。
(ああ、そんな……ど、どうすればいいの……このままつづけられたら)
ふくれあがる便意が初美に新たな恐怖を呼んだ。このまま浣腸をつづけられたら、八人目の中学生まで耐えられる自信はない。耐えられずにバスのなかで排泄させられたら……初美は考えるのもおそろしい。達也ならやりかねないのだ。
「誰が黙っていいと言った。どんな気持ちかみんなに説明しろと言ったはずだよ、初美さん」
「ああ、ごめんなさい……」
初美は達也を怒らせるのがこわかった。それにあらがう気力などとっくになくなっていた。
「初美、たまらないわ……本当に上手だわ……ああ、初美、気持ちいい……そんなふうに浣腸されると……初美、イキそう」
初美はもう自分でもそれが本心なのか、強要されたからなのかわからなくなった。恥ずかしい言葉を口にすることで、いっそう身体が燃えた。
著者: 結城彩雨
(あの子に見られたりしたら、私たち、破滅よ……)背後から息子の悪友に貫かれ、恍惚に喘ぐ初美は、誰にも見せたことのない淫らな牝の顔を浮かべていた。体育館、通学電車、寝室…時と場所を選ばない狼たち。最後の矜持を振り絞る美母の想いを打ち砕くように、物陰から覗き見ている我が子の手には浣腸器が!